Mr.children 『2015 TOUR REFLECTION』 @横浜アリーナ 5.28

更なる進化を遂げて、横アリに凱旋したモンスターバンド

強い。バンドとしての強さを感じた。もしかしたら今がMr.children史上一番良い時なのかもしれない。そんな事を思わせるほどキレキレのパフォーマンスだった。

 

今回のツアーは非常に特殊な形で行われている。一般的なツアーの場合アルバムをリリースして、そのアルバムを引っ提げてツアーが行われる。しかし、今回はそのアルバムがまだリリースされていないのだ。つまり、ツアー後にアルバムリリースの新しい形という事もあって、どんなライブになるのか想像もつかなかった。色んな意味で楽しみにしていたライブがいよいよ当日を迎えた。

 

何かから逃げるようにジェットコースターに乗った少女の意味深なアニメーションからライブは幕を開ける。繊細かつ様々な意味を含んだ美しい映像が終わるとステージ上は煙に包まれ、そこに4人のシルエットが現れると同時に新曲「fantasy」が響き始める。観客はついに現れた4人の姿に大きな歓声を上げる。ミスチルライブの開演である。ここから『ロックンロールは生きている』『旅人』『fanfare』とエンディングかと思わせるほど、気持ちの入ったアップテンポなナンバーで観たものを魅了する。桜井はアリーナ中央部まで張り出されたステージを目一杯まで使って、キレのあるパフォーマンスを披露。スタートから魅せるMr.childrenの力強い演奏に思わず圧倒されてしまった。 なにしろパワーが凄い。最後までこの威力が持つのか心配になってしまった。ミスチルがこのツアーにかける想いを、すぐに感じ取ることが出来た。

 

ここからニューアルバム『REFLECTION』に収録された新曲が立て続けに披露される。特に印象に残ったのは『FIGHT CLUB』だ。『youthful days』や『PADDLE』のような疾走感のあるナンバーで、特にイントロのギターリフが素晴らしくクールなメロディーだった。

 

ライブ中盤ではアリーナ中央部にあるステージで、お馴染みのナンバーが続々とプレイされる。桜井がハモるという特別バージョンとして歌われた『口笛』や「金魚の面白話」から演奏された『HANABI』。そして戦後70年への想いが込められた『口がすべって』。こんな気持ちの入ったメッセージ性のある『口がすべって』は初めて聴いた気がする。桜井の歌う姿からは「許し合っていこうよ」と『ラブ&ピース』を心強く願う、切実な想いが感じられた。

 

ライブは終盤に差し掛かり、またここで一段階ギアが入る。ロックな感情をむき出しにして、かき鳴らされる『REM』や内面にあるダークな感情を、エッジの効いた音に乗せてシャウトする桜井が最高にセクシーだった『WALTZ』、親子愛の尊さをメロディーへ見事に変換した名曲中の名曲『放たれる』など、様々な顔を持つミスチルの音楽が横浜アリーナ全体を包み込む。

 

エンディングに向けての流れではMr.childrenのこれからの決意が感じられた。「まだまだこの旅は終わらねーぞ。」そんなようにも聴こえた『足音~Be Strong』でミスチルが完全復活を高らかに宣言。そして、ライブの最後にチョイスされたのはニューアルバム『REFLECTION』の中でも前評判が高い『幻聴』。ポップで心を震わせるほど魂が宿ったメロディーの数々。奏でる音楽は非常に強く、バンドとしてよりソリッドになったMr.children。そこへSunnyのキーボードが要所要所で僕らの心に音を染み込ませる。非常に相性の合ったメンバーだと思う。確かにHOMEツアーから帯同していた第5のミスチル小林武史」がいなくなったことで、アレンジの幅は多少狭くなったのかもしれない。しかし、それを感じさせないほどのシンプルかつパワーのある音楽だった。やっぱりSunnyがいるミスチルライブが俺は好きだ。

 

 

アンコールのパフォーマンスが素晴らしかったのは言うまでもないだろう。『エソラ』から『Marshmallow day』の流れは個人的に結構な驚きだったが、今のミスチルだから出来る事なのだろう。この日のエンディングを飾った『REFLECTION』のリード曲『未完』のように、ミスチルが完成を迎える日はまだまだ来ないのだろう。桜井が弾くブルーフラワーも活き活きと輝いて見えた。

 

まだ見ぬ完成形に向けて、Mr.childrenは1歩1歩を踏みながら「終わりなき旅」を続けて行く。

 

セットリスト

1.fantasy

2.ロックンロールは生きている

3.旅人

4.fanfare

5.Melody

6.FIGHT CLUB

7.斜陽

8.I can make it

9.口笛

10.HANABI

11.口がすべって

12.蜘蛛の糸

13.REM

14.WALTZ

15.放たれる

16.進化論

17.足音~Be Strong

18.幻聴

 

アンコール

19.Everything(It's you)

20.エソラ

21.Marshmallow day

22.未完