2017年の年間ベストアルバムトップ10

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2018年になりました。今年もよろしくお願いします。かなり遅くなりましたが、2017年のベストアルバムを発表したいと思います。どれもたくさんの人に聴いてほしい素晴らしい作品です。 

年間ベストアルバムトップ10

第1位 『BOOTLEG』 / 米津玄師

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文句なしの断トツ1位。最高傑作といっても過言ではないと思う。ベストアルバムなんじゃないかってくらい自分の中では、いまいちな曲が1つもなかったです。ホント良い曲作るなぁ米津さん。今回は菅田将暉をはじめとしたコラボ曲(DAOKOとコラボした『打上花火』はセルフカバーとして収録)や『orion』(「三月のライオン」主題歌)といったタイアップ作品がいくつか入っているんだけど、それがまた素晴らしい。作風や相手のパーソナリティに合わせるだけでなく、自分のエッセンスを絶妙に混ぜ合わせた楽曲に仕上げている。これまで以上に他者との関わり合いを積極的に行い、それを吸収している今の米津さんだからこそ生まれた作品だと思います。

なぜ最高傑作だと思うのか。もちろん『diorama』のような作品も好きだし、あの頃のような楽曲に救われた面もたくさんあるのだけれど、やっぱり自分の中では小さいころに聴いていたJ-POPが根底には流れていて。そのポップエッセンスみたいなものを感じるから、そう思えたのでしょう。

9日に武道館公演に行ってきました。その模様はライブレポに詳しく書いています。

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第2位 『A TRUE ROMANCE 』 / evening cinema

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第2位はevening cinemaの『A TRUE ROMANCE』です。正直一番最初に聴いた時、あんま好みではなかったんです。原田夏樹さんの声が。(笑)

聴いた瞬間にこれハマらないなって思ってたのに、音楽って不思議ですね。何度も聴いていくうちに癖になっていって、気づいたら「この声じゃなきゃダメだ!」なんて思うくらいにハマってた。イブシネ中毒。それもアーティストの才能なんでしょう。

懐かしくも新しいポップなメロディと恋する人間の複雑な心情を描いた言葉。収録されている曲全てがラブソングである今作品。恋は希望や幸福や夢を与えてくれるけど、もちろん良いことばかりじゃなくて。この作品は恋によって生まれる苦しさや侘しさみたいな感情が繊細に描かれていて、やりきれない気持ちを代弁してくれてる気持ちになります。またメロディが心地よいから物語が心の中にスッと入ってくる。

2018年2月には1stフルアルバム『CONFESSION』がリリースされる予定なので、一体どんな作品が聴けるのかとても楽しみです。

 

第3位 『DEAR FRAME』 / CLOW

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みんなと同じなら

別にあなたじゃなくていいでしょう

だったらさぁ そんなのさぁ

ただの数合わせ

 

『みんな同じ恋の歌ばっか つまんない』 / CLOW

 

尊い美声から放たれる強烈なフレーズがとどまることなく鋭く突き刺してくる。最初に聴いた瞬間に耳に引っかかった。

北海道札幌市出身の女性シンガーソングライターCLOW。Apple Musicでジャケットを見て、なんとなくチョイスした作品は2017年最大の衝撃作。

特に印象的だったのはこのフレーズ。

 

今日ある著名人の訃報が届いた 君は「悲しい」と言い 目を曇らせた

今日人身事故で君の乗る電車が止まった 君は「チッ」って舌打ちした

 

『スクロール』 / CLOW

 

当たり前のように過ぎていく日常に違和感を覚えていたけど、少しだけ心のトゲを抜いてもらった気がした。そして物事の本質とは何か改めて考えさせられる。

別に前向きな言葉が並んでいるわけじゃない。誰もが歌うありふれたエールソングがあるわけじゃない。むしろ世の中に絶望、失望しているのかもしれない。でもこの人が歌う限り僕は前を向いて歩ける。心の拠り所がある気がして生きていける。そんな気がするんです。

2017年に出会ったCLOWの『DEAR FRAME』。2017年9月に解散したplentyの大名曲『枠』となんとなく、繋がっているように思えた。バトンが繋がれた気がした。

 

第4位 『Royal Blue』 / Special Favorite Music

4位はSpecial Favorite Musicの『Royal Blue』です。去年の『World's Magic』に引き続き、今年も彼らの作品をトップ10に選びました。トップ3に肉薄するぐらいの良作。前半はキラキラした華やかさを感じるナンバーが続き、後半は切なさが内包されたメロウなサウンドが並ぶ楽曲で構成されていて、どの曲もじんわりと心に染みてくる優しいアルバム。特に『EVER』は素晴らしいのでぜひ聴いてほしいです!

全ての曲に共通して「夜」というワードが歌詞に登場する点も特徴的で、色んな角度の夜が楽しめるアルバムとも言える。音を大切に扱ってるのがよく伝わり、音楽に対してすごく誠実な点も好きな理由の1つ。まだ一度も生の演奏を見たことがないので、今年は絶対見たい。

 

第5位 『SODA POP FANCLUB1』 / サイダーガール

サイダーガールの記念すべき1stアルバム『SODA POP FUNCLUB1』を5位に選びました。音源を聴いてもライブを見ても感じる真っすぐで爽やかな青さが彼らの好きな所。メンバー全員が作詞作曲できる点はすごく強みだし、しかも誰が作っても完成度が高い。サイダガらしさを維持しつつも、メンバーそれぞれの個性が出たバラエティ豊かな作品に仕上がっていて、タイトル通りポップで多くの人に愛されるアルバムだと思います。『なまけもの』『ナイトクルージング』『メランコリー』が特に好き。3曲とも制作者が違うというのだから驚き。

 

ベストアルバム6位~10位

第6位 『from JAPAN2』 / Tempalay

第7位 『Blue』 / 大橋トリオ

第8位 『Change  your pops』 / 雨のパレード

第9位 『mother's』 / My hair is Bad

第10位 『anly one』 / Anly

 

6位はTempalayの『from Japan2』です。サイケデリックというとあまり万人受けするイメージがないんだけど、この作品はポップで聴きやすく、サイケに馴染みがない人でも気に入るのではないでしょうか。サウンドも歌詞も異国情緒漂う感じがして色んな所へトリップした感覚に陥る。そして、この浮遊感がたまらなく気持ちよい。心躍る多彩なリズムパターンと緻密なメロディは一聴の価値あり。SFMと同じく早くライブで見たいバンドの1つ。

大橋トリオの『Blue』も珠玉のナンバー揃いの素晴らしい1作。トリオさんの作品で一番好きかも。色んな音が使われているのに、ぶつかり合ってる感じがなく洗練されている。

楽曲から伝わる圧倒的多幸感。このアルバムを聴くと、悲しみも切なさも寂しさも全て大きな体で抱きしめてくれる気がしてなんだか前向きな気持ちになれるんです。

新たなポップを切り開いた雨のパレードの『Change your pops』が去年に引き続きベスト10入り。おそらく今年一番ライブで見たバンドだと思う。やっぱり彼らのポップは1歩先を進んでいて、ワクワクする未来に連れてくれてってくれる気分がする。「僕らがポップを変える」など自分達の目指すべき目標を堂々と宣言し、自分たちに常にプレッシャーをかけ続けるスタンスがカッコ良いし、それを楽曲やステージで体現してるから更に凄い。時代の先を行くサウンドと福永さんの描く実直で力強さのある歌詞が眩しいほどに魅力的な1作。

年末のCDJで「2018年はすごい年になる」と胸を張って宣言した雨パレ。今年も本当に楽しみでしょうがない。まずは2月にあるきのこ帝国との対バン自主企画でどんなパフォーマンスが見れるか注目したいと思います。

シーンの最前線を断トツで突っ走るマイヘアの最新作を9位に選びました。最初の『復讐』でいきなり先制パンチ食らって、あとはそのままなすがままボコボコやられた。バンドサウンドは今の勢いそのままに躍動感があって、生々しいほど感情をむき出しにする言葉たちが矢継ぎ早に突き刺さってくる。今の世の中、日常の中で周囲の評判や体裁、空気を気にして、色んな感情を溜め込んでモヤモヤする時がよくある。そんなやり場のない想いを彼らがスカッとするほど真っすぐに叫んでくれるからこそ救われる気がするし、もう一度1歩前に踏み出せる。マイヘアみたいにどこまでも自分に正直でいれたらいいのにね。

武道館開催にビックリしたんだけど、2daysやると聞いてさらにビックリ。これでチケット取れない人が続出しているとかどんだけ人気なんだよ(笑)。武道館が楽しみすぎて待ち遠しい。

CLOWもそうだけど、NakamuraEmiとか日本には素晴らしいシンガーソングライターがたくさんいるってことを声を大にして言いたい。Anlyもその一人。沖縄県伊江島出身1997年生まれの女性SSWによる待望の1stアルバムを10位に選びました。美しく伸びやかであり、パワフルさを併せ持つ歌声がとにかく魅力的。

父親の影響で小さな頃からブルースやロックに触れてきたこともあり、幅広い音楽性も特徴的。今作は『太陽に笑え』のようなAnlyの代名詞とも言うべきダイナミックかつパワフルな楽曲だけでなく、甘酸っぱさ満点の『傘』や柔らかでメロディラインの美しい『レモンティー』、地元沖縄のエッセンスを感じる穏やかな『come back』など、Anlyの全てがわかる作品に仕上がっています。こういうハートフルなサウンドを放つ女性シンガーソングライターなかなかいないのでぜひ聴いてほしいです。

11位以下の作品はこちら(順位はなし)

『Awesome City Tracks4』 / Awesome City Club

『N/S』  / City your City

『FANTASY CLUB』 / tofubeats

『INTELLIGENCE』 / 夜の本気ダンス

『SHISHAMO4』 / SHISHAMO

『触らぬキミに祟りなし』 / MOSHIMO

『colors』 / mol-74

 

City your Cityの『N/S』は最後までトップ10に入れるかどうか迷いました。エレクトロをベースにしたR&Bって感じで、J-POP的なエッセンスが入ったメロウなサウンドがイカしてる。国内だけでなく、海外でも通用するポテンシャルがあると思うので、ホント今後が楽しみなアーティストです。

ACCもtofubeatsも素晴らしい作品だったし、2017年も多くの名作に出会いました。

偶然かどうかはわからないけど、上位3組のアーティストは多大な影響を受けたアーティスト(米津さんやCLOWはBUMP、evening cinemaの原田さんはMr.children)が自分と共通する部分があって、もちろん曲調や雰囲気は三者三様で全く違うけど、やっぱり自分の中に根付いているJ-POPが彼らの楽曲からも感じられるのかなと思いました。

2018年はまだ始まったばかりですが、既に気になる作品が続々と登場していますし、今年もわくわくする出会いに巡り合える気がします。個人的には今まで以上に色んな所にアンテナを張り巡らせて、どんどん素晴らしい音楽を皆さんに紹介出来たら良いなと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。